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Published: 2 September 2022

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「週刊! ケモノ部」vol.7【Changed】

ノブ

姿つくる心

アバン

彼は遠くに鳴り響く警告音に覚醒した。長いこと闇の中にいたのだろうか。白い室内が眩しく目を刺す
ベチャ――とカプセルから歩みだした少年は部屋を見回して思う

「……ここは……いったい、どこだ?こんな……場所……見たことない」

試験管の置かれた机。たった今まで自分が入れられていたカプセル。部屋のところどころには妙なゴム質の白い粘液が垂れている
ひどい倦怠感と空腹に襲われながら、不健康なまでに肌の白い少年は下着一枚の自分の現状を整理しはじめた
断片的な記憶の最後で何者かによって連れ去られたことを思い出した彼は脱出を試みることにした

出入口は施錠されているようだった
四畳半ほどの狭い部屋を物色していると奇妙なメモを見つける

『やつらにはさわるな!
 きみがやつらみたいになりたくなかったら』

メモはさらに続いていたが、文字が汚く、さらに何度も書き直した跡があり判読は難しかった
雰囲気からして少年を攫った連中のものではなさそうだ

……ダクトの奥から物音がする。『やつら』のお出ましだ

それは奇妙な生物だった。その形には定形がなく、白いベタベタでできている。それには意思があるのか、少年に一直線に向かってきた
直感が触れてはいけないと告げている
幸いにもそれは賢くなかった
少年は咄嗟の機転でやり過ごすことができた

(中略)

この施設は何かの研究施設らしい
施設には『やつら』が跋扈している。白いやつら、黒いやつら、ネコのようなやつら、イヌのようなやつら……みな少年を見つけると襲い掛かってくる
やつらの猛攻をかいくぐり進んだ道すがら、実験の記録と思われる資料を何枚か見た
そこには人を人で無くす『やつら』のことが書かれていた
やつらは宿主を探している。人間の全身を自らの粘液の中に取り込み、抗う隙もなく全てを作り変える
作り変えられた人間は、もはや人間であったことすら覚えていない
自らの新しい姿に恍惚とする、ただのケモノに成り下がるのだ
引くも進むも危険地帯。ここにもいつやつらが来るか分からない。たった一度のミスも許されない中、少年は進むしかなかった

主人公は 奇妙な生き物達が住まう建物の とある部屋で、目を覚ましました。
「Changed」は、その化け物達から逃げ 建物からの脱出を目指す。
高難易度なアクションアドベンチャーゲームです。
主人公が建物を探検する中、様々なケモノやモンスターと出会い。
その生き物達は、主人公の体を簡単に「奪う」ことができます。
彼のただ一つの目的は、この建物を探索し、出口を目指す事だけです。
何処かへと導こうとする謎の言葉、建物に散りばめられた文章、荒廃した外界の景色…
誰が導いているのか? なぜ彼はここで目覚めたか? 世界は一体どうなったのか?
その謎はゲームを進める中で、次第に紐解かれていくでしょう。

Steam ストアページ

イントロ

「週刊! ケモノ部」とは投稿主のノブが世界にあふれるケモノコンテンツを収集しそれを毎週紹介するものである

ケモノ部

今週もやってまいりましたケモノ部、今回紹介するゲームはずばり、「Changed」だ!
一部界隈では知らない人などいないほど有名で、TF……つまり『Transfur(獣化)』を代表する作品といっても過言ではない
本作は敵を回避しながら進むアドベンチャーゲームとなっているが、その難易度は『アイワナ』を彷彿とさせる高難度に仕上がっている
いうなれば死に覚えゲーのジャンルに属しているわけだが、このゲームでは、ゲームオーバー = TFという関係式があるためTFが好きなら、まあ、何とかなるだろう!

概要

Changed on Steam

ストーリー

Changedでは、少年を操作して多様な敵をかいくぐりながら施設を脱出することを目指す
少年は何者かによって連れ去られ、施設に幽閉されている状態であった
いったいどれほどの時をカプセルの中に閉じ込められ過ごしたのか
目覚めた少年に課せられた試練は長く険しいものだった
少年の行く手を阻むのは初見殺しの即死トラップの数々と、少年に寄生し肉体を奪うことだけが目的の『やつら』
捕まれば寄生され、TFを強制されるネバネバした生命体
TFすれば、元の人間としての人格は失われ、脱出の目標が叶うこともついぞなくなる
そんな施設の中で、少年は重要な出会いを果たす

黒曜獣……黒い粘液の体を持つ『やつら』の一種。本来知性の欠片もなく、ただ本能のままに宿主を求め彷徨い歩き、人間を見つけるや否や襲い掛かる存在
その黒曜獣の中にごく稀に知性を持ったイレギュラーな存在が発生する
そんなイレギュラーの中でも特に異彩を放つ存在の彼に、少年の運命が大きく動かされることになる
自らをプーロ(Puro)と名乗った彼は、少年と初めて会った時も本を読んでいた
本を読み、知識を蓄え、言葉を覚え、少年を「ニンゲン」と呼ぶ
誰の教えもなく、本に描かれた記号の羅列が文字であり、言語を記した記録であることに気づくまで、プーロはどれほどまでの時間を要したのだろう
プーロは自らのことを失敗作と呼んだ
だから強くなることを望んだ。賢くなることを望んだ。人間に憧れた
プーロと少年の出会いは運命だったに違いない
手を取り合い、身を寄せ合い、二人の力でBAD ENDを回避をめざせ

Changed Game Capture

ゲーム性

このゲームではゲームオーバーになるとTFする
敵も意地でも主人公(少年)をTFさせようと数多くの初見殺しで待ち構えている
プレイヤーはクリアまでに何度となく少年をTFさせることだろう

(だがそれがいい)

全体的な難易度調整は『高難易度』になっており、それだけゲームにやりごたえがあるということである
さらにありがたいことに、各所にセーブポイントが設けられているので一つの難所に集中してプレイできる
おかげで幾分か攻略も楽になるというものだ
攻略ルートも一本道で、一度過ぎたステージを戻ることは基本的にない
これも方向音痴の主にとってはありがたい話である

ゲームオーバー時のTFには2パターンあり、ゲーム画面上でTFしそのまま暗転するものと、TF後に一枚絵が挿入されるものがある
一枚絵はどれも妄想が捗る仕上がりとなっていて、そのためにわざとゲームオーバーになった人が居るとか居ないとか……
(一枚絵ではないがストーリー中盤、プーロ初登場時、目の前でTFしてみるのがおすすめ)
ゲームの進め方によってはBAD ENDとなって最後までプレイできないことがある
一度はそのエンディングを見ておくことをお勧めするが、間違ってもそこでゲームを止めてしまわないように
まだやるべきことが半分近く残っているはずだ

Changed on Steam

選択

BAD ENDルートを回避したなら、後はストーリーを楽しみつつエンディングへ向けて進むだけで攻略でききる
(といっても、鬼畜難易度なことには変わりないのだが)
エンディングの直前、最後の選択がある。3択のそれだ
ここからはどの選択肢を選んでも真エンドを見ることができる
しかし、重要なことは、最後まで諦めないことだ
ここまでこれたプレイヤーなら何をするべきかわかるはず
正解を選び取れることを願っている

むすび

Changed は主にとってなかなか思い入れのあるゲームだ
ゲームを作った「DragonSnow」氏とBGMを手掛けた「SHIZI」氏には改めて感謝したい
TFというジャンルを知るきっかけになったばかりでなく、ラテックス系というニッチなジャンルの魅力を知ることができた
当時はまだ公式からの日本語提供がなく、有志による日本語訳があるだけの時期だったが、あの頃の翻訳も好きだった

と、懐古的な情動はこれまでとして今回のケモノ部を締めたいと思う
んじゃ、また来週!


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