アバン
「ホヒンダ村にひっこしてきたさよりんでーす。」
記念すべき最初のセリフ on どうぶつの森 ホヒンダ村だより(1) / (C)2001-2003 Nintendo(C)2005 Nintendo(C)Sayori Abe(C)Shogakukan
「これからメルヘンな生活を楽しんじゃうの♡」
……と息巻いていたのも束の間
メルヘンさのかけらもない引っ越しの代金を請求される(至極真っ当である)
地獄の沙汰も金次第、夢に見たメルヘンな家具に囲まれた生活を手にいれるため
さよりんはバイトに奔走することになる。そこからホヒンダ村での生活がスタートし、
住民との出会いや別れ、他村の人々との交流、釣り大会やハロウィンなど様々なイベントを通じて
さよりんなりのドタバタスローライフが幕を開ける…!
イントロ
「週刊! ケモノ部」とは世界にあふれるケモノコンテンツを収集しそれを毎週紹介するものである
ケモノ部
可愛らしい動物の住民とのんびり送る自由気ままなスローライフ……
そんなどうぶつの森シリーズを原作とした漫画作品はいくつかありますが今回ご紹介するのはそのうちの一つ、
あべ さより作「どうぶつの森 ホヒンダ村だより」です。
本作はゲームであるどうぶつの森の世界を舞台としており、
釣りや虫取りなどのゲーム内のアクティビティ、他村の人々やどうぶつの住民たちとの交流、
どうぶつの森のシリーズごとのネタやプレイ中のあるある、次作の要素を予想するメタ的な話など
長いゲームシリーズならではの多様で面白いお話が詰まっています。
どうぶつの森シリーズをプレイしたことがある方がいるなら、一番にオススメしたい作品です。
それでは始めていきましょう。ふんばばーーー!!![1]
[1]原始人に扮したさよりんがよく発する掛け声。特に意味はないらしい。
概要
本作は2002年から小学館の学習雑誌や「ぷっちぐみ」と言う少女漫画雑誌に掲載されていた漫画作品で
初代どうぶつの森から3DSの「とびだせ どうぶつの森」まで漫画化しており、それ以降のメインタイトルは漫画化されていません。
とびだせ以降の作品はスピンオフ作品である「ハッピーホームデザイナー」と「Amiiboフェスティバル」が登場しています。
ジャンルとしてはほんの少しのラブコメやBL要素が入った日常系ギャグ漫画です。
小学生向けの学習雑誌かつ少女漫画と聞くと読むのを躊躇ってしまうかもしれませんが、
本作のギャグは子供向け作品特有のわざとらしさがなくスラスラ読むことができます。
ギャグの内容自体も案外大人向けなものも多く年齢問わず楽しめます。
本作の大きな魅力は「ゲーム」の漫画化であることを活かした描写が非常に多いことにあります。
たとえばゲーム外のプレイヤーが登場する話があったり、
ゲームシリーズの変遷に合わせて次回作の要素を予想したり、
新作の世界に入り過去作とのギャップを感じるような描写があったり、
ゲーム機の取り違えによってプレイヤーの中身が入れ替わってしまったり……
──といったようにゲーム世界の中だけに留まらないものが多いです。
ゲームを取り巻く環境・時代・人々の全てがこの漫画の世界観を構成しています。
ある意味ではどうぶつの森シリーズの歴史を知ることができる漫画でもあります。
ストーリー
漫画の構成はストーリー仕立てのお話、1話完結の4コマ、地続きでお話が展開する4コマの
3種類の形式で掲載されており単行本ではこれらがミックスされ収録されています。
内容としてはさよりんを中心としたホヒンダ村での日常が主で、時折さよりん以外の住民や他村の人が中心になる話もあります。ハロウィンやクリスマス、年越しやバレンタインなど四季折々の行事を楽しんだり、
村メロという村の時報などで使われる音楽を決めるために奔走したり、
マイデザインという服や壁紙などに使えるお絵かき機能を使ってイタズラしたり、
ありとあらゆるゲーム内の要素を詰め込んだネタの数々が本作の魅力と言えるでしょう。
また初代「どうぶつの森」→「どうぶつの森 +」→「どうぶつの森 e+」→「おいでよ どうぶつの森」→「街にいこうよ どうぶつの森」→「とびだせ どうぶつの森」…といったシリーズの変遷に沿ってキャラクターの外見が変化したり村の施設の諸々が変更されたりしています。それによってシリーズを追ってプレイしている人であればあるほど共感でき、読み返すたびに新たな要素が発見できる稀有な漫画です。
キャラクター
・人間のキャラクターたち
いわゆるプレイヤー。基本的にゲーム内アバターとして登場するが稀に現実世界での姿が描写されることも。
皆季節に応じて服装が異なりゲームをかなり楽しんでいることが伺える。
・さよりん
ホヒンダ村在住。2/25生まれ、うお座A型。ダイナマイト豪快娘。そのくせ妙にロマンチストで人情に厚い。コタロウのことが好きらしいが なかなかうまく表せない。好きな家具はラブリーシリーズ。サンセベリア。
ホヒンダ村だよりに出てくる人間の紹介 on ホヒンダ村だより公式サイト / (C)2001-2003 Nintendo(C)2005 Nintendo(C)Sayori Abe(C)Shogakukan
本作の主人公。男勝りな性格で豪快、かなりの自由人。
花火大会の日に落ちた小銭の音を聞き分けたりできるほどの銭の亡者で
最悪な環境の村の証であるラフレシアを咲かせてしまうほどの面倒くさがりという
見た目からは想像もできないほどダメ要素が多い女の子。
そのくせ好きな男子(コタロウ)の前では恥ずかしがり屋で思いを口に出せなくなる乙女要素も併せ持つ。
実は腐女子。
・コタロウ
ハフンダ村在住。11/22生まれ さそり座A型。男女ともに友人の多い好感度高い男の子。しかし日々ボケキャラ化。さよりんのことを好き?なの?かな?好きな家具はロボシリーズ。スーベニアシリーズ。黒い招き猫。
ホヒンダ村だよりに出てくる人間の紹介 on ホヒンダ村だより公式サイト / (C)2001-2003 Nintendo(C)2005 Nintendo(C)Sayori Abe(C)Shogakukan
凄まじい運と女装の才能を持つコミュ力高めの男の子。
さよりんが一目惚れしてしまうほどイケメンらしい。またコタロウ本人もさよりんには好感度高め。
とあるいざこざから「コタロウはさよりんのものなの?」という発言が出た際には
満更でもなさそうな目線をさよりんに送っていた。甘酸っぺえぇ〜〜〜〜〜〜!!
基本的にはしっかりしているタイプだが時が経つにつれてボケキャラ化していった。
・ルイコ
ヘヒンコ村在住。5/7生まれ おうし座O型。さよりんの親友。性格は正反対の、大人しいやさしい子。意外と頭が回って、策略家なので、ピンチの時にはルイコだより。好きな家具はカントリーシリーズ。暖炉。こうふくのき。
ホヒンダ村だよりに出てくる人間の紹介 on ホヒンダ村だより公式サイト / (C)2001-2003 Nintendo(C)2005 Nintendo(C)Sayori Abe(C)Shogakukan
品行方正で綺麗好き、優しく頭も良いさよりんの親友。
あまりにも良い子すぎて本当にさよりんの友達なのか疑われたことも。
さよりんのことは大体なんでもお見通しで学校の宿題をしていないことを見抜いたり、
村に仕掛けたイタズラの全容を看破したりなど長年の付き合いであることがわかる。
釣りの腕が天才的で雨の日には希少なレア魚しか釣れないというとんでもない特技を持つ。
実はさよりんと同じく腐女子。
・どうぶつの住民たち
いわゆるゲーム内NPC。ゲームシリーズが移り変わる度にいなくなったり、復活したりする。ゲーム本編と同じく一期一会。初期から変わらずホヒンダ村にいるキャラもいる。
・レベッカ
初期からホヒンダ村に住んでいるツッコミ役のリスの女の子。さよりんとはかなり仲が良く、彼女がボケていない時でも一緒にいることが多い。さよりんの扱いにも慣れていて何か頼む時も良い報酬をチラつかせて動かすことも。ツッコミ方は千差万別で保護者のように戒めたり、村の環境を悪化させようとしたさよりんに対して強烈な飛び蹴りを放ったりとバリエーション豊か。
・シベリア
初期のホヒンダ村に住んでいたオオカミの男性。レベッカと同じくホヒンダ村の初期のメイン住民であり彼女がいない時のツッコミ役。だったのだが後述するシュバルツや他のオオカミキャラに出番を取られてしまっているという不遇な一面を持つ。Wii版「街にいこうよ」のエピソードでは復活しているがそれでも出番は少なめ。
・シュバルツ
シベリアに代わりレベッカ不在時のツッコミ役として登場したウマの男性。馬に関する話題が出た時にはほぼ必ず現れる。性格は冷静でツッコミも優しい。お花見時、桜にちなんで馬肉はさくら肉と呼ばれているというデリカシーのカケラもない発言をさよりんにされても軽いツッコミだけで済ましていた。夜に他の黒い体毛の住民を誘って黒い服を着用、そのままさよりんにかくれんぼを仕掛けるという中々にシュールなボケをかますこともある。
・ナイル
エジプシャンな雰囲気溢れる猫の女の子。王位継承の争いに巻き込まれさよりんの別荘がある島に漂着したらしいが詳しい経緯は不明。見た目にそぐわず日本語ペラペラで日本文化に精通しているが、都合が悪くなると日本語がわからないふりをする。初期に登場して以来しばらく出番はなかったが、作者さんのもう一度会いたいランキングでは1位を獲得し、その甲斐あって第6巻で再登場を果たした。
むすび
ホヒンダ村だよりには面白いお話が本当にたくさんあるのですが、
私のイチオシは単行本5巻に収録されているDSからWiiへの引っ越しをテーマとした4コマ群です。
例に挙げるとさよりん側と住民側の引っ越し知識の差に関するネタであったり、(動物たちはゲーム内で頻繁に引っ越しをするのでそこらへん詳しい)胡散臭い商人から引っ越し先として提案された物件がギャグ間取りであったり、(今で言うところの「変な家」風のネタ)
引っ越し蕎麦のために道具と家具を総動員して作り上げたりなど……(そば玉を料理には使わない道具で伸ばし、調理に関係ない家具二つで茹であげる超荒技クッキング)密度の濃いネタの数々がテンポよくお出しされるので是非読んで欲しいです!
いかがでしたか!
ホヒンダ村だよりはさよりんと他村の人々との関係性や住民とのクスッと笑える掛け合い、
元となったゲームをプレイしていれば思わず共感してしまうようなネタや逆に驚いてしまうような描写など
どうぶつの森愛に溢れていて個性豊か、大ボリュームの作品です。
前述したように3DSの「とびだせ どうぶつの森」まで漫画されているのですが、
Switchの「あつまれ どうぶつの森」の世界で暴れ回るさよりんと住民たちが見たい…っと思ってしまうほど魅力的な作品です。
※公式HPへ飛びます。そこから各種販売サイトへ飛ぶこともできます。
ケモノ部では紹介してほしいコンテンツを常に募集しています。
有名無名問わずケモノなら何でもOKです。
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貴方の推し住民も是非とも教えて欲しいです。筆者はナイルとラッキーが好きです!
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